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BOOM BOOM SATELLITESと僕 前

好きなバンドを言うとき、一番好きなバンドはアジカン、大学に入ってからはくるりが好きになったと話すようにしている。それはこの2つのバンドが、僕のいくつかあるロックンロールの原体験を引き起こしたためであるが、その原体験の中にBOOM BOOM SATELLITESというバンドも存在している。

1990年結成、97年デビュー、2016年に活動を終えた、川島道行、中野雅之の二人組ユニット。略称はブンブンとかブンサテとか。そのギターボーカルである川島道行さんが10月9日に脳腫瘍で亡くなった。

人の死について、大人になった今でもどんな言葉を発せば良いのか分からない。これからもずっと、分かりやすい答えを得ることはできないのだと思う。そうであっても、自分が好きになった人に対して、思いや記憶をつなぎとめておかなければならないだろうと感じたので、BOOM BOOM SATELLITESがもたらした僕のロックンロールの原体験と彼らの歌を聴くようになってからの短い思い出を記しておこうと思う。

 2011年7月17日、この日僕はアジカン主催のイベント、ナノムゲンフェスティバルへ行った。生まれて初めてフェスに行き、生まれて初めてライブで音楽を聴いた日だった。その日のトップバッターがブンブンで、これが彼らとの出会いだった。一番の目的は勿論メインアクトのアジカンであったのだけれども、初めてのライブ体験の衝撃は、アジカンの演奏よりも、彼らの方が強かったと感じる。

 会場が暗くなり、メインヴィジョンが彼らを紹介する。ざわめきと静寂が交錯しながら観客の緊張が高まっていくのが分かった。そして、その混沌を打ち壊すように轟音が鳴り響いた。激しい音のギター、変化を止めない電子音、心臓のリズムが規定されてしまうほど身体に響いてくる強烈な四つ打ちドラム。スピーカーの真ん前にいた僕は、その大きな大きな音にびっくりしっぱなしだった。耳や心臓が壊れてしまうのではないかと感じるほどの大音量に対する不安と恐怖がある一方で、小さな音楽プレイヤーとイヤホンで楽しむだけだった音楽が、大きな会場のすべてを使って鳴らして、耳だけでなく身体のすべてで感じ取って、そこにいる人全員と共有しあって楽しむという、途方もなく大きな生きものに進化・変化していくことに感動と高揚を覚えていた。


BOOM BOOM SATELLITES 『BACK ON MY FEET-Full ver.-』

BACK ON MY FEETはその日演奏された曲の一つで、その年のナノムゲンのコンピレーションアルバムに収録されていたもの。駅のチャイム音や人間が出す音といった環境音のイントロが印象的で、 加速度的に華やかに、音の壮大さが増していく曲。

 

DIG THE NEW WORLD

BACK ON MY FEET

MOMENT I COUNT

KICK IT OUT

STAY

 

たったの5曲。ほとんどMCもなく、演奏も全部ひっくるめて30分あったかどうかの、瞬く間の出来事で、終わった後は殆ど放心状態だった。当時高校生、それまで17年間生きてきた中でも信じられないくらいの情報量が詰まっていた30分間だった。

これが彼らとの出会いだった。

つづきます